神聖祭2日目。

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『これはね、悪さをした人間が落ちる所。地獄ってやつだよ』 動く何か…それは、地獄の住人が光を目指して這い上がる姿だった。 その言葉に、思わず恐怖を抱くパーシーだったが…アビーは喜んだ。 『凄い!これが地獄…!』 『人は死んだ後…その罪の重さによって地に落とされるんだ。それが地獄。俺たちの住処だよ』 だからね、と続けたサリエルはアビーを見てニコリと微笑んだ。 『君も落ちるんだよ、ここに』 その瞬間、パーシーは時が止まった様に感じた。 それ程に…恐怖で体が動かなかったのだ。 地から這い出る地獄の住人達の手が…アビーを掴み、引きずり込んでいく姿を…何も出来ずに、ただ見ることしか出来なかった。 『アビー!ダメだアビー…行かないでくれ…』 やっとの事で振り絞った声も、アビーには届いていない。 狂気に満ちた笑顔で、抵抗することなく身を委ねるアビーは… 『これで…僕の知りたいことを知ることが出来る…!』 純粋に、それを教えてくれるのだと信じていた。 でもパーシーは分かっていた。 口に弧を描くサリエルは、そんな事を教えようとは思っていないことを。 アビーを殺そうとしていることを。 『悪魔契約第12条。対価に見合わぬものを差し出した人間は、殺しても構わない』 ボソリと、楽しそうに呟いたサリエルの言葉もまた、アビーには届いていなかった。 完全に、その場から居なくなったアビーを見て…パーシーはゆっくりとへたり込んだ。 静かに、涙を流しながら。 『久しぶりに呼びだされたと思えば…対価が全然足りないよ。人間如きの命で…俺らの秘密を喋れるワケがないよね』 同意を求めてくるサリエルに返事をすることなく…パーシーはその場でアビーを想い、泣いた。
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