神聖祭2日目。

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「今日はね、挨拶に来たんだ。遅くなってごめんね?」 首を傾げながら言うサリエルは、最後にフッと笑うと俺の元へと歩いてくる。 そして俺の前で跪くと…頭を下げた。 「何の真似だ?」 国民の居る前で…それも、王家の人間や王国騎士団の前で、人間を卑下する堕天使が俺に頭を下げる姿を見て、後ろがザワついているのが分かる。 結界内の人間は、その光景に動揺を隠せないらしい。 「何の真似って…自分で分からない?君はこっちに居るべき人間だ。人間側じゃなくて、魔族側に…」 「お前の言う挨拶ってのは、そのことか?それなら帰れ」 妖刀村正の刃を、サリエルの首へと持って行き…殺気を含めてそう言うと 「冷たいなぁ…」 と、笑顔を消す。 そして諦めたのかスッと立ち上がり… 俺じゃダメか、と小さく呟いた。 スタスタと堕天使の元へと歩いていったサリエルは、片手を上げるとクイッと手首を曲げる。 それが堕天使達への合図だったのか…翼を広げた堕天使達が猛スピードでこちらへと飛んできた。 「来るぞ!」 声を掛け、全員が堕天使に向けて攻撃を仕掛けるが、堕天使は簡単にそれを躱していく。 魔界でも屈指の実力を誇る奴らには、全力でいかなければ無駄らしい。 「トーマおかしいで。あいつら一切攻撃してこやん」 「分かってる」 攻撃をする手を休めず、オカッパの言葉にそう返し…堕天使全員の動きを見る。 この状況に楽しんでいる奴も居れば、退屈そうにしている奴。 「佐藤…1人足りない」 イケメンの言葉に、ハッとして前を見た。さっきまで堕天使が居た場所を。 堕天使は合計15人。でも、今飛び回っているのは14人だけ。 それに気付いた瞬間…飛び回っていた堕天使達が同時に魔法を繰り出して来た。 それも、禁忌魔法の…神級魔法を。 「おい…洒落になんねぇぞ…!?全員、防御魔法を出せ!マトモに喰らったら死ぬぞ!」
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