神聖祭2日目。

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「あれ?もうバレた?おっかしーなぁ。前世と全く顔が違うはずなのに…やっぱ分かるもんなの?」 あはは、と笑いながらそういうのは…間違いなく、俺の兄貴。 たった2年早く産まれただけの、人間のクズ。生きている価値の無かった人間。 そうか。全く関係ないと思っていた。 魔王復活は2年前。兄貴が地球で死んだのも、2年前。 「よく、馴れ馴れしく俺の…俺たちの前に、姿を見せれたな」 信じられない。やっぱり、こいつはクズだ。 俺は兄貴の返事を聞く事もなく…地を蹴り、猛スピードで迫った。村正、正宗を手に。 殺す気で。 「おいおい。久しぶりの再会だってのに、随分な対応じゃねぇか。それとも感動しすぎてハグしに来た感じ?」 「そうだよ。抱きしめてやるから手を退けろ」 腰に携えていた剣で俺の攻撃を受け止めた兄貴。 キンと音を立て、力で押し合う。カタカタと音を立てる3本の剣は、そこからは微動だに動かない。 「2年も会えなかったのが寂しかったのか?そんなに俺のことが好きだったんだな…兄ちゃんは嬉しいぞ」 「あの時殺しておけば良かったと後悔するくらいには好きだったな。でも、今殺せるなら文句ねぇよ」 剣を引き離し、再度切りかかる。それを避けられ、今度はこっちに剣先が向かってくるのを避け… 空へ飛び立った兄貴を追い、足に火魔法を集め、地面に向けて放ちロケットの容量で俺も空へ飛ぶ。 「お前とこんなに会話するのは何年ぶりだ?斗真が反抗期になってから、話さなくなったもんなぁ…」 「普段は嫌いな人間とは話さないんだ。光栄に思えよ」 「それって俺の事が大好きでたまらねぇってことか?兄ちゃん照れちゃうぞ?」 空でも剣を交えた魔法の攻撃を繰り出すが、兄貴には1発も当たることなく躱される。 むしろ、遊ばれている感じだ。 「ちっ…素直に殺されろよ」 「ぷりぷり怒ってる斗真の動きなんか、すぐ見切れちゃうんだ…兄ちゃんのこと嫌いになったか…?」 どこまでも、どこまでも… ふざけているこいつに虫唾が走る。
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