神聖祭2日目。

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「大丈夫大丈夫。何もしないから」 そんな信用度0%の言葉を放つサリエルにイラつきながらも、兄貴の前には堕天使達が居るから下手に手出しすることが出来ない。 俺以外の人間にまで怪我されると困る。 俺だから体が腐る程度で済んだものの…普通の人間なら死んでてもおかしくないからだ。 「斗真、お前…本当にこっちに来ないんだな?」 「お前には殺意しか芽生えねぇよ」 「そんな…兄ちゃん悲しいぞ!」 どこまでもふざけた野郎だ。 兄貴は手にした剣を空へとかざすと…一気に集めた魔力を天へと放った。 「これはただの宣戦布告だ。俺も力を取り戻して、翼を殺しに行くことだし…また今度会おうぜ、斗真」 そう言って消えた兄貴。 それに続いて、他の堕天使達も続々と姿を消していく。 「あーあ。トーマは俺の玩具なのに。魔王様は君にご執心のようだね」 「お前も早く帰れ、サリエル」 他の堕天使が全ていなくなったというのに、まだそこに居るのはサリエルただ1人。 こいつはどうしても俺を殺したいらしい。 「魔王様には悪いけど、どうしても諦められないんだよね…」 そう言って俯いたサリエルは、こっちへと歩いてくるが…当然、阻止するのはイケメン達だ。 「邪魔。君たちに用はないんだけど」 「佐藤には近付かせない!」 「あ、そう。別にここからなら届くからいいんだけどね」 何が…………と思った時にはもう遅かった。 サリエルが目の包帯を取ったのだ。 「じゃあね、トーマ。治してほしかったら俺の所までおいで。地獄の端にあるお屋敷に住んでるから」 その言葉だけを残して、サリエルも姿を消した。 サリエルの持つ能力には、もう1つある。それはあの包帯の下に隠された目だ。 邪視。邪眼。 そう呼ばれる…目を見た相手に、様々な災厄を与えることが出来るもの。怪我や病気、そして死さえも。 で、目を見てしまったわけだが。 今の所、体に何の違和感も感じない。
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