神聖祭2日目。

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雲一つなく、星が綺麗に見えていた空には…どんよりと、黒く重い雲が広がっている。 これが、魔王復活の証。 地上から光を消し、人間を絶望の淵へと追い込むもの。 多分、1000年前に動物たちが魔物へと姿を変えたのはこれの所為だろう。一気に禍々しい空気に変わった。 息をするのも苦しくなるような、重い邪気で満ちている。 「ありがとう、助かった」 サリエルの気配もなくなったのを確認してから、全員に向けてお礼を言うと…何故か驚いた顔で見られた。 「なんだよ」 「佐藤…目…」 そう言うと、イケメンが口を開く。しかも俺の顔を指差して。 「何か…変だよ」 何も伝わってこないんだが? どういうことだと思いながら、創造魔法で創り出した鏡をイケメンから受け取り、顔を見た。 「なんだこれ」 赤かった眼の色が、左目だけ明らかに変わっている。黄色に。しかも目の中に鍵の模様まで。 あいつ、治してほしければ会いに来いとか言っていたが…今は何もなくても、いつか症状か何かが現れるんだろう。 そこまでは堕天使リストに載ってなかったな… 「サトーさん。何も異常はないんですか?」 「ああ。心配しなくても大丈夫だ」 眉をハの字にして話しかけてくるのは白髪。 それにしても…目が見えないのによく堕天使に立ち向かったな…。 「勇者様…今回は助かりました。それと、皆さんも。ここに居る10人の方には話しておきたいことがありますので…次の休日に城まで来てもらえませぬか」 結界も解け、そこから出てきた王。多分、魔王の話だろう。 国民はもう神聖祭どころではなく、怯えた目をしているが…それと同時に羨望の目もしている。 さっきまでの話で、バレたからな。 イケメンが勇者だってことが。
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