勇者御一行。

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当然、国民は今日この場に俺達が来ることを知っていて、ここに集まっているが… 俺は元々この場に出て顔を見せるつもりは無かった。 だから…顔を隠していない。 それなのに、イケメンが無理やり腕を引っ張るからこうなるんだ。 まだ若い青年じゃないか的な。 「こちらの10人が、勇者様と勇者様の心強いお仲間です」 マイクを使い、国中に聞こえるんじゃないかという大音量で王の声がこだまする。 その声に負けない程の大きな歓声が湧き上がり、ふと…マイクを渡された。 俺達全員に渡されたマイク。これで自己紹介をしろということらしい。 最初はもちろん、イケメンから。 軽い自己紹介として異世界から来たこと、創帝であることを話す。 その流れで俺へ。 共に異世界から来たこと、創帝の花守であることを話し、次々に自己紹介を済まして行く。 帝の地位は、もう降りるつもりだ。 兄貴が再びやってくる前に、もっと実力を付けておきたいから。 帝だと、どうしても王の護衛等の依頼で居場所がバレる時がある。 王国騎士団に敵のスパイが居る以上、そうなる事を避けるために帝としてはいられない。 騎士団団長は俺達の通う学園の理事長であり、イケメンが勇者だと知っている。 もうじき、学園にも居られなくなるだろう。 「私は、ミアです。半魔です。魔法は使えませんが、ギルドランクはSSです。創帝の花守をしています…」 「俺はイアン。魔人の長をしているが…もう人間側の存在だ。これからは魔人が人間を襲うことは無い。…今まですまなかった」 そして、魔族2人の自己紹介。 猫女は被っていたフードを取り、自身の耳を見せる。 魔人はその言葉の後に頭を下げた。 途端にざわつく国民。 差別の対象である半魔と、恐怖や憎しみの対象である魔人までもが…勇者の仲間だと知って、動揺を隠せないようだ。
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