勇者御一行。

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もちろん、そんな話を完全に信用していたわけじゃない。 『人殺しの子供だ!』 『近寄るな!殺されるぞ!』 学校へ行った瞬間、クラスの友達からそんな事を言われたのを覚えている。 前までは仲良くしていた友達だったのに…深く悲しくなったことも。 『斗真は何も悪くないだろ!何でそんな事を言うんだよ!』 それを庇ってくれたのがイケメンだった。 自分の身内が殺されたのに… 『ありがとう』 『ううん!友達なんだから当たり前だよ!』 こうやって、俺たちは一緒に居るようになった。 2年になって同じクラスになったイケメンのおかげで、俺はまた明るい性格に戻れたんだ。 やっぱり、俺を軽蔑した目で見る奴も居たが…元通り仲良くしてくれる友達も居た。 俺は、イケメンに守られた。 でも…兄貴は…? そんな考え、幼い俺には全く無かったんだ。 いつも明るく振舞っていた兄貴は、こんな逆風には負けないって…勝手に思い込んでいた。 1人、兄貴が孤立しているなんて…その時は気付かなかった。 兄貴は4年。 そこそこ言葉を覚え、自我もしっかりと芽生えている年齢。 そんな奴らに、兄貴がどんな言葉を投げかけられていたのか きっとその頃からだ。 明るい兄貴の性格が変わってきていたのは。 家族やイケメン達には変わらず明るい性格だったけど…明らかに傷が増えていた。 母親はそれに気付いていたようだが、兄貴が何もしなくていいと断っていた場面を1度見たことがある。 『大丈夫だよ母ちゃん。いつか勝つから。男は強くならないとダメなんだよ!』 その時、俺も何か出来たんじゃなかったんだろうか。 それを思い出す度に、後悔する 兄貴の悲しみに気付いていれば、…ガキなりに、何かやってあげれていたら あんなこと、起きなかったんじゃないか?
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