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~被告人Aへの聴取2~
家族のことについてですか?
そうですね……父も母も、そして弟の海里(かいり)も、とてもいい人たちでした。
父や母は、いつも優しくしてくれたし……海里もまだ8歳なのに、とても気の利く優しい子でした。
僕は今でも、あの家に生まれて、あの家族の一員になれて、本当に良かったと思っています。
あぁ、信じられないかもしれませんね。
だって僕はこの手でその家族を殺したんですし。
刑事さんも僕の話全然信じてくれなくて……。先生は僕の話信じてくれますか?
……はは、やっぱり信じづらいですよね。
まぁ確かに、連続殺人とか犯す人は、幼少期親とかに虐待されてきたケースも多い、って聞きますから。
あんな事件を犯した僕が普通の幸せな家庭で暮らしてきた、なんて、信じにくい話ではあるんですよね。
でも僕が普通の一般家庭で育ったというのは紛れもない事実ですし、信じてもらうしかないんですけどね。
……え、なんでそんな大切な家族を殺したのか?
それはさっきも言ったとおり、「この世から救済するため」ですよ。
ほら、自分の大切なものは傷つけたくない、って気持ちあるじゃないですか。
僕にとって、父と母、そして海里の存在は本当に大事な、大切なものだったんです。
だから、殺しました。殺してあげました。この、僕の手で……。
え、後悔しているか、ですか? いえ、どうして後悔する必要があるんです?
だって僕は、愛する家族を救っただけなんですからね……
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