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~被告人の弟・海里の友人の母親の証言~
あの事件をはじめて知った時、私は何かの冗談だと思いました。
海里君があのお兄さんに殺されただなんて、信じられなかったのです。
しかし、それがどうやら嘘じゃないとわかると、ハッキリ言って……ゾッとしました。
だって海里君のお兄さんは、殺人なんてする人じゃ……。
……あ、海里君のお兄さんとは、たまに喋ったりしていました。本当にたまにですがね。
海里君のお兄さん、高校生でいろいろと忙しいはずなのに、海里君の学校行事には必ず来ていましたから。その時に少し、ですが。
あれまでに弟思いのお兄さんはなかなかいないと思います。
だから……そんなお兄さんがあんなにたくさんの人を、そして、海里君やあのお父さんお母さんまで殺した、というのは信じられなかったんです。
……いえ、今では信じていますよ、さすがに。
だってもう証拠とかもそろっているんですよね。
でも……どうしてお兄さんは殺人なんかをしたんでしょうか……。
どうしてあんなに大切に思っていた海里君を殺したのか……それが私にはわかりません。
いや、わかったらわかったで問題なのですが……。
え、「救済」? すみません、「救済」ってなんですか?
……なんでもない? そうですか……。
いや、本当に……本当に怖いですよね……
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