罪語り

1日目

～事件を追う記者の情報～

あ、どもども～。
俺、K編集社の○＊雑誌の記者やってる笹川といいます。

へー！ 先生も○＊雑誌読んでるんですか！？
先生みたいな頭のいい人が読んでてくれてるなんて、こっちも記事書いてる意味があるってもんっすよー！

あーあの事件についてっすよね。
そーそー、思ったんすけど、聞き込みがこんな有名でもなんでもない雑誌の記者でいいんすか？
ほら、もっと有名な、しっかりとした新聞とか雑誌の記者の人に聞いた方が……。

え、今もまだあの事件について調べてる雑誌ってうちしかないんっすか！？

マジですか……あんな日本中を騒がせた大事件だから、まだいろいろな人が調べてるんだと思ってましたよ。

まぁ確かにあの事件が起きてからもう1ヶ月経ってますしね。世間では毎日いろんな事件が起きてるから、過去の事件なんて簡単に忘れ去られちゃいますよねー。

あ、そーそー。
先生、あの犯人の少年、なんか面白いこと話してました？

いやね、こちとら一ヶ月もの間その少年のこと調べてるのに、一切合切新しい情報が入ってこないんっすよ。

誰に聞いても「そんなこと起こすような人じゃなかった」とかそーいう証言ばっかで……。

そんなわけないじゃないに決まってるじゃないっすかぁ。

だって、その少年は自分の家族だけじゃなく、近くの公園で遊ぶ自分に関係のない、何の罪もない子供たちを、刃物で滅多刺しにしてたくさん殺したんっすよー？

そんなやつがいい奴に見えた、なんて絶対嘘に決まってるじゃないっすか。

ったく、みんな少年のこと悪く言うと復讐されるかもしれないから、って、わざと「いい奴に見えた」なんて証言してるんすかね。

全く……こちとらはじめて大きな事件の記事を任せられたから、それで今回なんとかいい記事書いて、編集長から評価もらわないといけねぇのに……。

もうこーなりゃ嘘の記事でも…………あ、いえ、もちろん嘘っすよ！

ま、俺も何か新しい情報手に入れたら先生に教えますよ。
その代わり、先生もなんか新しい情報手に入れたら俺に教えてくださいね？

だって先生は、今あの少年の1番近くにいるんすからね……。