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正一が首を伸ばしてこちらへ視線を投げかけてきた。
「お二人は付き合っているんですか?」
軽いため息がこぼれる。
「そんなわけがあるか。腐れ縁だ」
なぁ、と千昭へ目を向けると……微笑んではいるものの、悲しそうな目を向けてくる。
「そ、うだよね」
寂しそうに言うなよ。結局はいつも一緒にいるからいいじゃあないか。
突然ソファが揺れたかと思えば、正一が勢いをつけて立ち上がった。
千昭の前へ跪く。
「じゃあ俺が立候補をしてもいいですよね!」
ぶふっ、と茶を吹き出すような音が聞こえてきた。
斑鳩が、目を見開きながら正一を見つめている。その隣に座っていた琢己が慌てながらハンカチで口元を拭きはじめた。
「こんなに可愛らしい人を初めて見ました……」
おい。さっきは俺を褒め称えていた癖に。
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