つついた藪から出るのは棒か、蛇か。

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   男はしばらく黙っていたかと思うと、深い溜め息をついた。  そうしてポケットから煙草を取り出すと、何事もなかったかのように咥えて火を点ける。 「──ミサヲ、お前、俺のこと切るってこと?」  源氏名で呼ばれた芽衣は、ピクリと反応する。  こいつら、恋人じゃない。  それは、判った。  でも、男と女なのは間違いなくて、人間関係の複雑さに眩暈がしそうになった。  世の中、名前のつかない関係なんていくらでもあるもんだ。  名前のあるものだけに縋っているやつの頭の中は、割と陳腐なことしかないもんだし。  そう嘲りながらも、芽衣と恋人であることを確認した俺も、その陳腐な男なんだけど。 「返事、しろよ。ミサヲ」 .
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