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クッ、と肩を揺らし、その男は苦い笑みを浮かべる。
「し、シロちゃん……」
ことを荒げないで、という意思を持った手つきで、芽衣が俺の腕を掴む。
誰のせいでこんな状況になってると思ってるんだ、と思いながら彼女を見下ろす。すると芽衣は視線をうろうろさせながら俯いた。
俺だって、平穏に日々を過ごしたいよ。
男は煙草を咥えながら、ふうと息をつく。
「んじゃあ、お前、どうすんの。辞めんの」
まるでがらくたを投げ捨てるような声で、男は芽衣を見て言った。
芽衣は俯いたまま、動かない。
「……?」
辞める辞めないでもめてたのか? それにしては……。
俺が不思議に思った矢先、男は続けた。
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