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操は、何とも言えない複雑な顔をして俺を見つめる。
甘えようかどうしようか迷っている子どものそれのようで、頭を抱えたくなってしまった。
一度でも寝た女に対して、男はどうしても性分として所有欲みたいなものが湧いてくるんだが。
ひょっとして、女もそんな感じなんだろうか。
一度でも寝た男に対して、何でも許してもらえるような気がしてくるとか何とか、そういうやっかいな習性があったりするんだろうか。
俺は女じゃないから、全然判らない。
とりあえず操に対してその手の隙を見せないようにしなければ、と緊張感を手繰り寄せる。
「……聞いて、くれる気……あるの……?」
「“同級生のよしみ”っていうくくりの中でなら」
「木島……」
一瞬、操の瞳が潤んだ。
こいつのこんな嬉しそうな顔を見るのは、久しぶりだった。
……最近は、いじめてばかりだったからな……。
弱い者いじめをしていた罪悪感も広がって、俺はとことん女に甘い体質だと思った。
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