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「だから、旦那と話し合いしなきゃって。見て見ぬふりももう限界っていうか。不幸中の幸いで子どもはいないし、お互いの人生やり直すなら、早いうちにって……」
「……はあ。それ、玉砕覚悟?」
「そうよ。だってこのままじゃあたし、ただのビッチになっちゃうじゃない」
「友達巻き込む程度には、ビッチだろうよ……」
「だから! それをどうにかしようって。変わりたいの、あたし」
思春期のガキみたいなことを言いながら、操はぎゅっと口唇を噛み締める。
今さら、なんだかなぁ……という諦めに似た気持ちを抱きながら、少し顎を上げて彼女を見下ろすようにする。
「変わって、どうすんの。何かしたいことでもあるのかよ」
「……え?」
「離婚を前提にしろとは言ってないよ。でも、別れたあとどうするのか、具体的に決めてるのか」
麦茶を飲もうとしていた操は、口元まで来ていたグラスをゆっくりとテーブルに置き、俺を見つめる。
「具体的にって……」
案の定、離婚をゴールのひとつに据えていたらしい操はきょとんとしている。
まったく、女ってのはどうしてこうなんだ。
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