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煩悩の奴隷──なんて言ったって、別に仙人のような生活がしたいわけじゃない。
そりゃあそれなりにキビキビ働いて、それでもそれなりに色があって、それなりに癒しがあって──誰だってそんなふうに人生回せたらいいな、なんて思ってるに決まってる。
そんで、それが死ぬほど甘ったれた幻想だってことも判ってる。
世間の色んな波や面倒くささに揉まれて抱えていく疲労を、どうにかしながら回していくのが現代における人生のテンプレートだってことも判ってる。
命を狙われる心配をしなくていいだけ、この世の中はマシなところだってことも。
だったら、思うわけだ。
それなりに疲れて順調な毎日を乱す“煩悩”という名の化け物。
せめてそれくらい、自分の手で制御できないもんかね、と。
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