彼女の言葉は半端じゃなかった。

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  「いや、俺も自分のこと、そっちだなぁって思ってたんですけど。最近、おかしくて」 「逆になっちゃうってこと?」 「……怖いくらい話が早くて助かりますよ」 「早く帰ってくれないと、芽衣が寂しい思いするでしょう」  それは、あれか。  俺を早く帰そうとしてるってことか。やっぱり。 「美智子さんにこんな話するのはどうかなって思うんですけどね。でも、無防備にこんな話できるのは、やっぱりあなたしかいなくて」  美智子さんは一瞬周りを気にして、そっと俺に顔を寄せてくる。  前はそれなりにドキッとしたこの距離を、今は何とも思わない。  メスの気配をあっという間に消してしまう、母親という属性はすごいと思う。 .
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