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一瞬悲しげな目をして、結城さんは操を見つめる。
それが彼の許しだと判って、俺は立ち上がった。
黙って立ってたら、それなりの女なのに。操の“女”の皮1枚の下はドロドロだ。
そのドロドロの温度は上がったり下がったり。
色だって、白かと思えば赤だったり黒だったり、全部混じって名前のつけられないようなカオスな色になったり。
状況次第で、何になるか判りゃしない。
……なんか、蛹(サナギ)みたいだな。
蛹は、一度中で分解されて再構築されるって言うから。
蛹から出てきた操が、何に変貌するのかは判らないけど──。
「お前みたいなふらふらしがちな女、嫁さんにした結城さんに、お前こそ感謝しろよ」
「……え?」
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