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だから、追い詰めてやるんだ。
とてつもなく恋愛ベタで、馬鹿な“女友達”を。
「他の男と寝て、お前も嫌ってほど判ってんだろ。身体がどうなろうと、昔の淡い恋の感傷に委ねようと、お前の中から結城さんは消えないんだろ」
「……それ以上言わないでよっ!」
操はサイドテーブルのメモパッドを勢いよく引っ掴むと、俺に向かって投げつける。
──が、それが俺に当たることはなかった。
メモパッドは俺の前に飛び出した結城さんが顔を庇うためにかざした腕に当たって、落ちた。
結城さんは俺を振り返り、困ったような微笑みを浮かべて見せる。
「……木島さん、女の扱い、お上手ですね」
「いえ、決してそんなことは……」
「お上手です。私では、こんな短時間でここまで彼女を怒らせるのは、難しいので」
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