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ふいに瞼の裏が妖しいほどのマゼンタに染まるのを感じた。
「いや、雨に濡れて、それで」
「シャワー浴びたの?」
「うん」
「聞いてないんだけど」
「言ってなかったね」
「……シロちゃん、まさか」
ひときわ低くなった芽衣の声に、慌てて首を振った。
「いやいや、ないない。それは、ないです」
咄嗟に敬語になってしまった。
「本当。本当に、夫婦の修羅場に通りがかって、巻き込まれただけ。まあ、俺が操と寝たことも、なんか流れで旦那さんの方にバレたけど」
「どうしてバレるの?」
「操が、なんかメチャクチャなこと言うから……」
「何を? 何を、言ったの?」
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