101人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
芽衣はぐっと息を呑むと、そのまま押し黙る。
沈黙は肯定と勝手に決めつけ、俺は続けた。
「今思ったけど、俺、確かに操と寝たかったよ。諦めることもできないで、ずっと好きだった」
「……それで?」
「でも、考えてみたら情けないことに、あいつに望むことなんて何もなかった。抱きたい抱きたいって妄執ばっかりで……いて」
足を踏まれた。やっぱり、足癖が悪い。
「でも、芽衣にはいっぱい望んでる」
「何よ……」
「やらせて欲しいし、色々して欲しいし。笑って欲しいし、泣いても欲しいな」
「矛盾してない?」
「叱りたいし、叱られたいし、理解したいし、して欲しい」
「煩悩の化け物じゃない、それ」
.
最初のコメントを投稿しよう!