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「そんで、芽衣にも俺のことをそう思って欲しい」
「──……」
言った瞬間、芽衣の瞳がぴたっと止まる。
俺の顔を見上げたままの芽衣の腰を、自由になっている方の手でスルッと撫で上げた。彼女の背がしなる。
「芽衣がそう思ってくれてるのを──感じたい」
「ちょっと、シロちゃん……ごまかさないで」
「ごまかしてなんかない。怒ってるから、判ってもらおうと思って」
「それとこれとは──」
別、と言いかけた芽衣の口唇を、もう一度塞いだ。
んん、と抗議をするような吐息が彼女の鼻から抜ける。
それさえ俺を煽るものでしかないわけで。
いつから、こうなってしまったんだろう。
もう、この女なしでは生きていけないと、心臓が静かに訴えてくる。
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