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結城さんはテーブルの上の壊れた眼鏡を見つめながら、悲しげな息をついた。
操はそれをしっかり聞きつけて、「やめてよ、嫌味ったらしい」とぼやく。
振り返って結城さんを見ていたわけでもないのにそう言った操を見て、何だか馬鹿らしくなってきた。
結城さんもそれに一瞬カチンと来たんだろう、操の背中をひととき眺めてから、今度は音を立てないように溜め息をつく。
……明らかに俺が、邪魔者な気がするんだけど。早く来ないだろうか、芽衣。
そうして焦れ始めたところに、操が小さく唸り始める。
今度はなんだ……と目をやると、操はようやく振り返った。
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