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「……男と女の浮気はな、重みも意味も、何もかも違うものなんだ」
結城さんが感情を必死に抑えながら放った言葉に、思わず拍手したい気分になった。
「そんなの、男の詭弁よ。だったら、男はどんどん浮気していいってわけ? 都合のいいこと、言わないで」
「いいとか、悪いじゃない。そういうふうに、できてるんだ」
「は、マネージャー補佐を任されてるくせに、その程度のことしか言えないの?」
「……っ」
結城さんは今にも何か怒鳴りそうな動きをしたが、ぐっと飲み込んだ。
彼が何を言おうとしたか……そして、何のために言葉をこらえたのか。
皮肉なことに、同じ男として、俺にはいやというほど判った。
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