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俺がそれ以上訊かないことで意図が判ったのか、芽衣は少しはにかんだように下唇を噛み、テーブルにうろうろと視線を泳がせる。
テーブルの上には、芽衣の用意したメシが並んでいた。
自分から家事をしたいと言い出すだけあって、それなりのものが出てくるから最初は驚いたっけ。
──引っ越してから、2ヶ月が過ぎていた。
春先には悩ましかったマリちゃんだが──あれから、俺や松崎さんの遠まわしな追及をのらくらと逃げ回り、今も何事もなかったかのように働いている。
若い女ってのは、本当に判らない。
俺のことを好きだというそぶりを見せておきながら、疑われていることが判った途端、マリちゃんは信じられないくらい冷たく当たるようになったのだ。
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