選択肢なんて、あるわけない。

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   なかなか出ないから焦れていると、マリちゃんは少し慌てた様子で電話に出てくれた。  ちょうど風俗の方で仕事をしていた、と聞いて少し複雑な気分になる。  男の働いている店の経営者と話すことができたと言った途端、マリちゃんは電話の向こうで泣き始めた。  話を聞いていたときもずっと泣いてたが、よほど心細かったんだろう。  今さらだが、女が一人世間に出て働く……というのは困難なことなんだろうな、と思った。  男女平等が叫ばれてから久しいし、近頃は女の方が強い世の中で。 .
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