遊園地デート

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平日なので、あまり人はいない。 曇り空なのが救いだ。 二人は駐車場から遊園地まで歩いて会話していた。 「もぐらさん、やっぱり昼はムリだった?」 「かなりキツいが、人がいないだけ良しとする。  …てかお前学校は?」 「サボった。」 「だってもぐらさんと遊園地行きたかったから。」 「…  休日は人混みがあるからな…。  俺はムリだ。  しかしお前そこまでして俺と」 「当たり前でしょ?」 「どれだけ今日この日を待ったと思ってんの?  バカ兄には先にデートされるし。  …あの変態、もぐらさんに手ぇ出さなかった?」 「な、何もなかったから。」 ファッショナブルなホテルに連れ込まれそうになったり、ほっぺたにキスされた事を知ったら、この兄妹は自宅のアパートで戦争を始めてしまいそうだ。 だからもぐらは当たり障りなく答えた。 「ふーん。まあもぐらさんは男じゃ たたないでしょ?」 「…かなり直球な発言だな。」 「もぐらさん、腕組もう♪」 「ん?ああ。それぐらいならいいぞ。」 もぐらからすれば娘みたいなものだから特に抵抗なく腕を少女に預けてやった。 「あのカップル、めちゃくちゃレベル高いね。」 「あの男の子、なんか落ち着いててカッコいいね。  大人っぽい…。」 「あのJKかなり可愛いんだけど。やべえ。」 何故か平日の遊園地を蠢く若者たち。 (何だ?みんなサボりなのか?世も末だな…。) そんなもぐらの思惑など知った事ではない少女はアトラクションを物色している。 「おい、そこの姉ちゃん。そんな優男なんかほっといて、俺たちと遊ぼうぜ!」 また、絵に書いたような悪ガキ共が目の前に立ちはだかった。 …こんなのがまだ生息してたとは。 もぐらたちが住んでいる街は都会的なところと田舎な雰囲気なところが同居したような新興都市だ。 いまだに田舎の兄ちゃんやら姉ちゃんやらが生息していても違和感はなかった。 …しかし、ここまで強烈なのは今や20年前の漫画でしかお目にかかれない。 しかし、もぐらにとってみれば亜衣も、彼らも同じ『子供』。 「悪いことは言わないから、帰って勉強でもしてろ、ガキ共。」
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