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「ああ゛ッ!テメーやんのか?」
「いやマジでヤバいから。おまえらが。」
もぐらは気付いていた。隣から発散されている、ただならぬ殺気に。
かわいそうなことにガキ共は気づいていない。
「…すんな」
「え?なんか言った?ねえちゃん?」
「邪魔すんな~!!!」
次の刹那、ガキ共の一人がくの字に折れ曲がっていた。
そのまま投げ飛ばされた。
殺人的なタックルである。
(この子、柔道じゃなくて、アマレスやってんじゃないの?)
もぐらが心の中でつっこんでいる最中も男どもが次々と投げ飛ばされていた。
「あたしの恋路を邪魔するやつは馬に蹴られてしんでしまえ!!」
(馬に蹴られた方がマシなんじゃ…。)
心の中でつぶやくもぐら。
「あーあ、俺がやった方が良かったかな…。俺ならかなり手加減してやれたし」
「もぐらさんの手を煩わせるまでもないよ。こんなの。」
騒ぎを聞きつけた警備員が駆けつける。
「やばいな…。捕まったら面倒だ。逃げるぞ!」
少女の手を掴み逃げるもぐら。すごい俊足。
少女もそれに楽々と付いてこれるくらい俊足。
しかし敢えて、もぐらの少し後ろを走り、手を引かれる感触を愉しんでいた。
「どこか隠れる場所は…」
もぐらは遊園地内を見回す。
「あ あそこがいい!」
『おばけ屋敷』の看板が目に入った。
受付にチケット数枚を投げ渡し、お化け屋敷に入り込む二人。
「ここまでくればもう大丈夫だろう。」
1~2キロぐらいダッシュで走っても息一つ乱れてない二人。
(作戦通りうまく行った。てかさっき思いついたんだけど。)
不敵な笑みを浮かべる少女。
「もぐらさん、せっかくだから楽しみましょう♪」
「まあ暗い所は好きだから、いいけど。」
「もぐらさん、…えっち。
誘ってるの?しょうがないなぁ…。
こんなとこで、がいいなんて。
もぐらさん、
変態的な性癖の持ち主だったんだね。
でも安心して!!
あたし、頑張って合わせるし!!
イタッ?」
亜衣の頭頂部に手刀を叩き付けすたすたと先に行くもぐら。
「待って~!!一人じゃこわいよ~!!!」
「俺はお前が恐怖そのものだ。」
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