16人が本棚に入れています
本棚に追加
ただ一人だけ。
たった一人だけ、信じてくれた少女がいた。
馬鹿げた妄想のような話を、誰もが気味悪げに遠巻きにした子供を、
嘘の余地が無いほど大真面目な顔で、
一言も漏らさずに聞き入るような真摯さで、
互いに触れることができる距離で、
『しんじるよ』
少女はいつでも、そう言っていた。
屈託の無い笑顔のまま、
いつだって、この手を握ってくれた。
――言い訳をするならば、
それが何故なのかを考えられるほど、賢しい子供じゃなかった――
最初のコメントを投稿しよう!