序章

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薄暗く、幾つかのランプが灯るとある一室でカップに入った珈琲が黒く染まっていた 珈琲の香りが部屋の中を漂わし、部屋の片隅にある古時計がボーンボーンと時刻を知らせる 机に置かれた書類には目もくれず、ただただ一点を見据えていた 「さて、今年もこの時期が来ましたか」 「はい・・・」 スーツ姿の女性はかしこまり、煌びやかな立ち姿がとても印象的だった 春風が吹き荒れ、木々には桜が満開し、ヒラヒラと散っていく花びらを背に心は好奇心に満たされていた 「ちなみに今年は何人ほど集まったのですか?」 「現時点で確認できているのは214名です・・・」 「そうですか、思ったより多いですね、いやはや…今年はどんな子が来るのか楽しみですよ・・・」 そう言い残す顔は不適な笑みを浮かべ、未来を見据えるような眼差しをしていた 部屋に古時計の針がチクタクと響くなか女性は静かに口を開いた 「そろそろ時間です・・・学園長」
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