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~疑惑~
考え込む美沙に望は言った。
「美沙~浮かない顔して、またストーカーの事考えてたの?」
「えっ、なになに?
美沙ちゃんストーカーに遭ってるの?」
「ストーカーっていうか……
変な手紙が鞄に入ってるんです。
でも、ここ三日くらいは何もないですけど」
「鞄に?」
「だからさ、私は彼氏が怪しいんじゃないかと思うよー」
少し酔っ払った風な望が言った。
「えっ、美沙ちゃんの彼氏が?」
「だってさ、美沙と彼氏しか知らない事が手紙に書いてあるんでしょ?」
(そう言われれば…
雄ちゃんが出張に行ってから、手紙が来てない……)
美沙は黙ったままビールを一気に飲んだ。
「美沙ちゃんの彼氏かもしれないんだ?
じゃあさ、俺が次の彼氏候補になっても良い?」
真っ正面にいた山崎が、いつの間にか美沙の隣に来ていた。
「山崎さん、彼女いるじゃないですかぁ~」
頬を赤く染めた美沙は笑いながら言った。
「少し前に別れたよ。
美沙ちゃんの事ずっと良いなって思っていたけど、彼氏がいるって聞いていたからさ。」
山崎は真剣な眼差しで美沙を見つめた。
「やだ~
みんな酔っぱらいすぎだよ~
もうすぐ終電なくなるし、お会計して帰ろう?」
望がその場をまとめて、飲み会はお開きになった。
家が遠い望は、その晩美沙の家に泊まる事になった。
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