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~深夜の訪問者~
ピンポーン
(んん……今何時?)
美沙が時計を見ると夜中の2時だった。
ピンポーン
(誰?こんな時間に……)
美沙はおそるおそる玄関の除き穴を見た。
「……雄ちゃん?」
ガチャ
「良かったー。
急に帰れる事になって何度も電話したんだけど、連絡つかなくて心配したんだ」
雄一は、ラフな格好で玄関先に立っていた。
「ごめんね?
今日会社の人と飲んでいたの…
飲みすぎちゃって、帰って来たら寝ちゃってたみたい」
「そっか。無事なら良かった。」
「今日ね、望が泊まりに来てくれてるから……悪いんだけど……」
美沙は後ろを振り返りながら申し訳なさそうに言った。
「俺なら歩いて帰るから大丈夫だよ。
二駅だし。
また何かあったら連絡しろよ。」
雄一は、美沙の頭を撫でて帰っていった。
バタン…
(雄ちゃん…
心配してきてくれたんだ…)
「んん……美沙?誰だったの?」
ソファーに寝ていた望が起きてきた。
「あっ、彼氏がね心配して来てくれたの」
「彼氏が?
……明日まで出張じゃなかったっけ?
ま、いいや。
おやすみ~……」
望はすぐに寝てしまった。
美沙が点滅する携帯を確認すると、雄一から何件も着信があった。
「明日まで出張じゃなかったっけ?」
頭の中で、望の声がこだまする……。
結局、朝まで美沙はぐっすり眠れなかった。
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