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~郵便受け~
部屋の中はコーヒーの良い匂いが立ち込めていた。
「あぁ~よく寝たぁ……」
望がソファーベッドから起き上がってきた。
「望おはよ~。
今コーヒー入れるね」
「ありがと~
そういえば、昨日誰か来たんだっけ?」
「はい、コーヒー。
……うん。彼氏が来たんだ。」
美沙は望のコーヒーをテーブルに置いてから座った。
「ふーん……そっかぁ。
今日さ、何する?」
「うん……
せっかくの土曜日だし、たまには美味しいランチでも食べに行こうか?」
美沙は不安な気持ちを打ち消すように明るく言った。
「いいねー!
あっ、昨日の洋服お酒くさーい。
美沙、何か服貸して~」
「いいよ。
クローゼットの中から適当に選んで」
美沙はコーヒーを片付け、出掛ける支度をした。
「望~そろそろ行こう」
美沙が声をかけると、望は淡いピンク色のワンピースを着て出てきた。
「それ……」
(雄ちゃんと初めてのデートに着たワンピース……)
「これ、すごく可愛いなぁ~と思ってたんだけど、着たらまずかった?」
「ううん。
すごく似合ってるよ
じゃあ、行こうか」
二人で玄関で靴を履いていた時、望が郵便に気がついた。
「あれ?何か入ってるよ」
カタン
望の手には封筒が握られている。
封筒を見るなり、美沙の顔色は悪くなった。
「これ…例の手紙?
私が開けてもいい?」
黙って頷く美沙の代わりに、望が封筒を開けた。
「男に媚びる淫売は嫌いだ」
望は恐怖のあまり、その場にうずくまった。
「ひどい!……」
望はうずくまった美沙を優しく抱き締めた。
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