美沙

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~忘れ物~ 「では、これから展示会の成功をお祝いして、合同二次会をはじめま~す」 望は二次会の居酒屋で、盛り上げ役に徹していた。 「美沙ちゃん…… 今度さ、一緒に出掛けようよ。 俺、本気だからさ」 「山崎さん…困ります」 酔いが回った山崎の強引な態度に、美沙が後ずさると鞄にぶつかった。 (……いけない!忘れちゃった) 「あっ……ちょっとごめんなさい」 美沙は慌てて望に駆け寄り、店を出た。 「美沙っ!」 呼び止める声に美沙は振り返った。 「雄ちゃん……」 「どうしたの? 一人で危ないよ」 「あの……前の居酒屋さんに忘れ物しちゃって」 「この辺危ないから俺も一緒に行くよ」 居酒屋に向かうまでの僅かな時間…… 二人の間に会話はなかったが、穏やかな空気が流れていた。 (やっぱり……雄ちゃんといると落ち着くな)
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