雄一

2/12
前へ
/88ページ
次へ
~秘密の彼女~ 「雄ちゃん? どうしたの?」 ボーっとしている雄一に美沙は声をかけた。 「いや…… 美沙の手料理美味しいよ。 毎日食べたいくらいだよ」 「ありがとう…… 沢山食べてね」 赤く頬を染めて照れる美沙をみながら、俺は微笑んだ。 美沙と付き合い初めて一年。 今までにないくらい順調な付き合いだ。 前任の担当者が辞めたため、美沙の会社の担当に俺がなった。 初めは可愛くて良い子だなって思った。 でも一緒に仕事を続けていくうちに分かった。 納得いく物が出来なければ、いくらでも時間をかける。 芯が強くて……頑固だった。 俺はそれなりにモテたけど、美沙は全く媚びなかった。 いつも自然体でいたから、居心地が良かった。 美沙を狙う男達は多かったけど、俺が彼氏になったんだ。 「雄ちゃん…… ニヤニヤして気持ち悪いよ」 (なんてハッキリ言うんだ……) 「美沙ちゃん……傷ついた……」 そう言うと美沙は笑いだした。 狭い業界内だから、交際してるのは秘密だけど仕方ない…… 公にする時は結婚する時だな。 俺は…… この穏やかで幸せな日々がずっと続くと思っていたんだ。
/88ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加