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~平穏~
んー……
軽く伸びて時計を見ると、10時。
横には、背中を向けたままスヤスヤ眠る雄一がいた。
広い背中に抱きつくと、寝ぼけた雄一が美沙を抱き締めた。
(幸せぇ……)
まどろむ意識のなかで、美沙は雄一との出逢いを思い出していた。
美沙が入社して、一年。
取引先の担当者が代わり、次の担当者が雄一だった。
美沙が勤める会社は小さかったが、3F~地下1Fまでのビルを所有していた。
自社でサンプル等を製造していたため、納得いく物が出来るまで、雄一と美沙は日に何度も顔を会わせることがあった。
背が高く、さわやかな雄一は誰からも好かれる青年だった。
自然と仲良くなり、知り合って半年で付き合い始めた。
美沙は23歳。
雄一は27歳だった。
二人の交際は狭い業界内では秘密でいたが、一年経った今も交際は順調だった。
「美沙っ……美沙ちゃーん」
美沙が目を覚ますと、良い匂いがたちこめていた。
「見てみて!
遅い朝食&ランチで~す」
テーブルには、
サラダ
ヨーグルト
スクランブルエッグ
ベーコン
フランスパン
コーヒー
がセットされていた。
「わぁ!雄ちゃんありがとう~」
美沙はテーブルについて、手を合わせた。
「いただきま~す♪」
「これ食べたらさ、美沙が行きたがっていたショッピングモールに行こうよ」
美沙はパンを頬張りながら笑顔で頷いた。
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