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異典・絶愛
――彼女と初めて出会った時――
私は何も着ていなかった。
所謂――全裸。
なぜそうなったのか?
いきなり私のアトリエ兼隠れ家に彼女が訪ねてきたからだ。
「聞きたい事がある」
それだけ告げて強引に乗り込んで来た彼女。
当然、良い印象なんてない。
まぁ、美人と言われれば……そちらの部類には入るだろうが、取り立てて騒ぐほどでもない。
治安維持部隊の男どもが彼女の何に惹かれて熱をあげるのか。
正直に言って……わからない。
この高圧的で傲慢な女の何が良いんだか……
「人の話を聞いてますか? 七代目ユウ」
乗り込んで来た彼女を見ながら思案していると、ため息混じりに問われた。
「聞いてますよ? 死番隊隊長――荒絹さん」
「だったら服を早く着てください。私はさっきからそう言ってるんですが?」
「だから私もさっきから答えてるでしょう。自分の“巣”でどんな格好してようが勝手だと。このまま聞きますから、要件。どうぞ」
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