小野寺麻衣子は完璧でした

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家に帰ると勉強もそこそこにベッドに潜り込んだ。別に眠いわけじゃない。むしろ今日は心臓がうるさくて眠れそうになかった。 布団にくるまって長年私と一緒にいるくまのぬいぐるみを抱き締める。 形が変わるほどぎゅうぎゅうと抱き締めても胸の動悸はいっこうに治まる気配を見せない。 この前遊びに行った時はここまで胸が高鳴ったりしなかったのに、どうしてだろう。 いや、遊びに行くからというだけではない。麻衣子のことを考えると最近はいつもそうだ。 私はどこかおかしいのだろうか。 もんもんと悩んでいると部屋のドアがノックされ、母の声が響いた。 「由布子、ごはんよ。」 「…今行きます。」 時計を見るともう八時だった。家に帰って来たのが六時半だとすると、私は相当の時間こうしていたのだろう。 どうして今更、こんなにも動揺しているのか。 私には分からなかった。
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