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「由布子さんいらっしゃい。」
「お邪魔します。」
麻衣子のお母様に母に持たされたお土産を渡して家に上がる。うちの倍はありそうな玄関を通ると、ダイニングに通されて麻衣子の向かいの椅子に座った。
「母がどうしてもって聞かなくてね。すぐに私の部屋に通すつもりだったんだけど、少しだけアフタヌーンティーに付き合ってくれ。」
「構わないわ。お邪魔している身だし、こういうの好きだもの。」
麻衣子のお母様が用意してくださったのはアールグレイのロイヤルミルクティーだった。
「由布子さん、カップケーキ好きだったわよね?」
「はい。」
「たくさん焼いたから食べてちょうだいな。」
麻衣子をそのまま大人にしたような麻衣子のお母様が焼きたてのカップケーキをたくさん出してくださったのを一つ食べる。おいしい。
「すごくおいしいです。」
「あら、どうもありがとう。」
「由布子はお母様には正直だね。」
少し拗ねたような表情で麻衣子が言う。珍しい表情に私の胸は高鳴った。
「そんなことないわよ。」
「そんなことあるよ。」
紅茶を飲もうとカップを持ち上げた瞬間に麻衣子と目が合う。なぜか笑いがこみ上げてきて二人して笑ってしまった。
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