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「あれ?のぶ…」
「…!?こらぁ!今、私の下の名前を呼びかけたのは誰!?」
さーちゃんの破壊的な大声で周りの人達からの視線が私達に集まる。
さーちゃんの名前は笹木信子(ささきのぶこ)。
正直、さーちゃんが下の名前が嫌いな理由も分からなくない。
さーちゃんの性格から言うとお洒落な名前に憧れそうだから。
例えば、かりん、ちなつ、みのり…とかかな?
私もまだ友達になりたての頃、なんて呼べばいいか悩み“のぶちゃん“と呼んだところ、初日からぶっ飛ばされたっけ。
そして、いつもそれをワザとらしくからかうのが今回の騒ぎの主犯、道野一生(みちのいっせい)。
私とさーちゃんと同じ中学出身。
2人は中学時代からいつもこんな調子で一生がからかい、さーちゃんが怒る。という流れになる。
実のところ一生はワザと信子と呼ぶわけではなく自然と出てしまうらしい。
逆にあれだけのパワーで毎回怒られてもそれを忘れて信子と呼ぶ一生がスゴすぎる。
あーあ…。
さーちゃんの怒りが収まるにはかなりの時間がかかる。
今日もしばらく機嫌が悪そうだ。
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