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「ナイト」
『何?』
「俺は復讐の為に教祖様に会いに行く訳じゃない」
息を飲む気配。ややあって……
『そんなのわかってるよ。俺が何年、設楽のサポーターしてると思ってるの?』
任務遂行の為なら、そこに私的感情を挟んではいけない。
五歳の時から両親と共に機関に属していた少年なら……わかっている筈だった。
『二年前の依頼はキャンセルの方向で……じゃあ行くよ?』
「ああ、頼む」
教えてくれ……俺は何の為に……
アイツの元へ行く?
科学の力は偉大で表沙汰にはされていないが特定の訓練を受けた者はその身をボタン一つで移動させる事が出来た。
【テレポーテーション】とでも言えばわかりやすいだろうか?
しかしそれは特別な力、つまり【超能力】を持つ選ばれた人間にしか出来ない所業だとされて来た。
それを覆したのはナイトの父親で、少年はその後を引き継ぎ、【人体転送装置】を執念で完成させたのだ。
『バッドトリップ対策は?』
「万全だ」
口中で転がしていたキャンディーをがりっと砕く。
お菓子というのが少年らしく、そして痛ましかった。
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