第3話

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先輩は、人見知りで感情もあまり表に出なくて、他人を詮索しないし誰にでもフラットな人。 そういう人なのに。 赤い信号が滲む下 車が左右に流れて行く向こう側で 先輩より少し背の高い男と一緒に 見た事も無い顔で笑っていた。 目の前がチカチカした様な 背中をいきなりドン、て押された様な なんか変な感じ。 『もやっ』ていうの?これが。 胃もたれみたいな感覚で気分が悪くなってきた。 信号が青に変わった時 それまで笑っていた先輩が急に顔をしかめた。 男が手首を掴んで詰め寄った。 「……」 立ち尽くしていた視界を青に変わって横断歩道を渡る人の波に邪魔された。 それで何故かは分からないけれど その数秒後には その男の肩を掴んでいた。 先輩が目を丸くした。 こっちだって驚いてる。 なんで走ってまでこんな事しているんだろう。 先輩の茶色い瞳が黒く見えるのは夜のせいだからだろうか。 ささめごと3 END
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