第3話

12/23
208人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
先輩の性格推理に必要なカードを集めるための質問。 引いたカードはそんな気持ちで手にしてはいけないものだった。 「…………」 でも、それを引いたおかげで今迄のカードが示すものがはっきりと分かってしまった。 今はまだ核心をつけない。 外堀を突つくだけ。 「先輩って、恋人に素を見せた事ないでしょ?」 「……それがイエスなら今度は何なの?」 性格推理に呆れながらも答えていた先輩に目を見つめながら 「羽山も人に素見せないでしょ」 と、逆に言われてしまった。 「……」 「パーソナルスペースは広くて、自分のペースを乱されるのは嫌な人でしょ?」 ……正解、とついつい小さくふっと漏れる。 「先輩の見立てだとそれはどんな人物ですか?」 「……人の事を信用してない人」 「………」 「それから、臆病な人」 「…………」 真顔でじっとこちらを見てくる。 黒い瞳孔がくっきり見える。 視線を外して小さく溜め息。 逆なでされる様な不快感に軽い苛立ちを覚える。 「先輩は、初見さんとかナシですか?」 「え?」 「恋愛対象として」 「無いね」 「言い切りますね」 「だって結構酷いんだよ?元々付き合う気が無いから一夜限りの付き合いばっかり。 さすがにナシでしょ?」 「……そうですか」 「もしかして、羽山もそうだったりする?」 先輩はそう言ってわずかに首を傾げた。 ここは違うという場面だって分かってる。 そうすれば波風立たず何事もなく過ぎて行くって分かってる。 けど…… 「そうですね」
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!