第3話

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人がまばらになった午後7時過ぎ 「羽山、営業部の勉強会とか興味ある?」 チョコレートを口にいれた先輩がそう言った。 「勉強会?」 「初見がね、定期的に若手集めてやってるの。 営業部ごとに客先の業種が違うでしょ? 特にうちは特殊だから民間のやり方も知っておくと今後役に立つんじゃない?」 「初見さん、そんな事してるんですね」 「いずれは上に立つ人間だからね」 「……認めてるんですね」 その言葉に先輩は動きを止めた。 そしてチョコレートをもう一粒口にする。 「初見は上に行かなければいけない重圧を覚悟して入った訳だから……それは凄いと思う」 「…………」 「人間性は置いといて」 それを真顔で言う、冗談めかさない所が先輩らしい。 チョコレートのケースをこちらに差し出し、いるかと聞かれたが首を振って断った。 そうする事を分かっていたように流れるような動作でチョコレートのケースを小池さんの机に置いた。 小池さんはそれをお供え物と言って喜ぶ。
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