第3話

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「勉強会って、いつやってるんですか?」 「……多分、営業部会議の日かな」 「教えてくれてありがとうございます」 「……あ、うん。初見に連絡しようか?」 「いえ、メールします」 「以外……」 「え?」 「なんか……そういうの面倒なのかと思ってた。 人から教わる事なんて無いんですけどみたいな」 「そんな……嫌な奴ですか?」 「ううん、仕事は素直で真面目だよ」 「仕事は……」 会話を交わしながらでも先輩の指先は一定のリズムでキーボードをタイプする。 「プライベートな事なんて知らないから」 「……」 まぁ、確かに素直で真面目では無いですからね。 カタン 「終わった。羽山はまだ?」 先輩が立ち上がりこちらを窺う。 「あ、はい」 「じゃあお先」 「お疲れ様です」 そして先輩は一度も振り向かずにフロアから出て行った。 ちらりと時計を見やった。 あと一時間で帰れるかな。 「あ、羽山ー」 「……」 こんな時間に自分の名前を呼んだのは初見さんだった。
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