第3話

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木崎さんと仕事を始めて思ったのは 気を使わなくていい、という事。 人と距離を取りたがるからこちらが警戒する必要もない。 仕事に関する説明も最小限の言葉で的確に指示してくれる。 仕事に関しては本当に小川の言葉通り。 いつもパンツスーツ アクセサリーは時計のみ 飾り気が無くて メイクも薄め。 きつい香水の香りもしない。 「羽山」 「はい」 一瞬目を合わせて直ぐにそらす。 自分から距離を取らなくて接することができる人なんてどれくらいぶりにあったんだろう。 「建設業許可証って5年毎に更新なの。番号今年変わったから、前の記載しないように気を付けて」 「あ、はい」 「あとは……」 そう言って軽く握った拳を口元に置く。 唇にとんとんと人差し指を触れさせるのは癖らしい。 口紅とかつけないからそうなるんだろうけど。 「木崎」 親元さんに呼ばれて振り向いた木崎さんの髪がさらりと宙を舞う。
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