第3話

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見てれば分かる。 先輩が潔癖だって。 だから、小川に付き合って行った居酒屋で2人きりになった時聞いてみた。 まるで自分を重ねるみたいに問い掛けた。 先輩はそれを指摘してもそれが何か?みたいな感じだった。 生き辛く無いのかな、と思っていたのに。 酔い覚ましに寄った公園のベンチに並んでいる時、先輩の性格を推理した。 『恋人に去られるんでしょ』 と言うと怪訝そうな顔をした。 そういう顔を普段向けられた事が無いからその反応が胸の辺りをピンと、弾いた。 なんか面白いかも……って。 「…………」 何故あの時先輩の手首なんか触ってしまったんだろう。 咄嗟に手を引いた先輩は左手で手首を押さえ動揺を見せた。 自分がされたらきっと先輩と同じ態度取った。 それが分かっていながらなんで触れてしまったんだろう。 『酔ってるの?』 その問いを肯定したけれど、本当にそうだったのだろうか。 掌を眺めて感覚を洗い流す様に頭からシャワーを浴びた。
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