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前を歩いていた父は立ち止まり振り向いた。
「木崎知和だろ?」
「……」
「優秀な人間だと聞いている」
「……」
「それに、あまり人と関わるのが得意では無いらしいな」
「そこまで……よくご存知で」
ふ、と溜息が漏れるような笑いが出た。
「変に関わるな、情が出る」
「分かってます」
「まぁ、社員1人位動かすのは簡単だけどな」
そう言った父の口元は笑っていたが目は笑っていなかった。
「…………」
自分も相当だと思っていたけれど
父は血が通っていないのでは無いかと思う程の人。
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