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俺の意思に関係なく、世の中は回っている。
頑張ったところで何も変わらない。
ただサボれば評価は地に落ちる。
なんて報われない人生だろう。
ふぅ
吐き出した紫煙は散り散りに姿を消していく。
「煙草なんて吸うの?」
ベランダに出て来た女が髪をかきあげながら言う。
「ん、たまにね」
「何その煙草、外国の?」
「まぁね」
「ねぇ」
手すりにかけていた腕に絡んで来た。
「……名前、教えてよ」
ふぅ
と、吐き出し灰皿に煙草を押し付けた。
「必要無いよ」
「え?」
「だって。もう会わないし」
口角だけ上げて見せると、瞳孔を開くみたいに見開いて腕に絡んでいた手の力が抜けた。
するりとすり抜けベランダから部屋に入りそのまま出口へ向かう。
「ちょ……ちょっと」
呼びかける声に振り向いた。
「朝ご飯は好きに頼んで」
ルームサービスのメニューを指す。
「え?……なに?」
「こっちが何?って感じだよ。
昨日会ったばっかでやっちゃって、また会う必要ある?」
「は?」
「俺ね、一度やった女とは二度と会わないの」
そう言えば何も言えなくなる事を知っている。
「…………」
「じゃぁね」
パタンと扉が閉まっても追いかけてはこない。
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