第3話

7/23
前へ
/23ページ
次へ
人を好きになるという事がどういう事かなんてよく知らない。 知らなくていいんだ。 知りたくもないし。 一度寝た人とは二度と会わない。 二度目があれば、三度目があり、それが続けば情が生まれてしまう。 情ほど厄介なものはない。と、父によく言われていた。 そう言われて育つとそうなってしまうんだ。 日が昇り始めた朝7時、大通りに出てタクシーに手をあげる。 煌めく朝日とは裏腹に、気持ちがどろどろに沈んでいく。 からっぽだ。 これから先も俺の人生は外見だけ飾られて中身の無い、そんな張りぼてだ。 家に帰ったらもう一度シャワーを浴びよう。 すべて洗い流そう。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

209人が本棚に入れています
本棚に追加